
正しく歩くには上半身のトレーニングが大切
ボクノジム高円寺店の代表トレーナーそうです!
「歩く」という動作は一見、脚だけを使う運動のように思われがちですが、実際には全身の協調運動です。特に、上半身の役割は見落とされがちですが、正しく歩くためには上半身の働きが非常に重要です。
本記事では、「パッセンジャーとロコモーター」という歩行における概念をベースに、なぜ上半身のトレーニングが必要なのかを、事実に基づいて解説します。
合わせて読みたい:意識的な良い姿勢は腰痛を引き起こす
「2ヶ月後の健康よりも1年後の健康を」という理念から、データに基づいた食事指導と最先端のトレーニングを提供します。
高円寺店詳細はこちら
■「パッセンジャー」と「ロコモーター」の関係
歩行において、人体は大きく2つの役割に分けて考えられます。
-
パッセンジャー(passenger):体幹より上、つまり頭・胸郭・上肢を含む「運ばれる側」
-
ロコモーター(locomotor):主に下肢(股関節・膝・足関節)で構成される「動かす側」
ロコモーターは、筋力・関節可動域・神経制御により歩行を実行し、パッセンジャーを支えて前方へと運びます。
一方で、パッセンジャーが適切に安定していない場合、ロコモーターは過剰な力を使う必要が出てくるため、効率の良い歩行が妨げられます。
つまり、「上半身がまっすぐ保たれていること」が、下半身の働きを最小限で済ませるために不可欠となります。
■体幹の直立が重要な理由
人間の体は、直立二足歩行を行う構造として進化してきました。
歩行中、体幹が地面に対して垂直に保たれていることは、下肢の運動軌道を正しく保つために重要です。
直立が崩れると、以下のような問題が生じます
-
骨盤や胸郭の左右の傾き → 歩幅や荷重バランスの不均衡
-
上体の過度な前傾や後傾 → 脚部への負担増加、膝や足首への負荷
これを防ぐためには、体幹の抗重力伸展を維持する筋群(脊柱起立筋・腹部深層筋・多裂筋など)の持続的な活動が求められます。
そのため、体幹トレーニングは歩行能力の維持・改善に直結します。
■アームスイング(腕振り)の役割
腕の振りは、ただの「動き」ではありません。歩行においては以下のような力学的および神経学的役割を果たしています。
-
反対側の下肢とのバランス維持
→ 右脚が前に出るとき、左腕が前に振り出されることで回旋力のバランスを取る -
体幹の回旋を促進
→ 腕を振ることで胸郭や脊柱の回旋が起こり、歩行の滑らかさが生まれる -
エネルギー効率の向上
→ 腕の振りがあることで、下半身の筋肉にかかる負荷が軽減されるという運動力学的な研究結果もある
アームスイングを適切に行うには、肩関節の可動域・肩甲帯筋の柔軟性・体幹の安定性・中枢神経系の機能が必要であり、これらはトレーニングにより改善可能です。
■まとめ:上半身の働きは歩行の「質」を決める
歩くという動作において、上半身は単なる“おまけ”ではなく、歩行の質・効率・安全性を左右する重要な要素です。
-
パッセンジャー(上半身)を安定させることで、ロコモーター(下半身)の働きが最適化される
-
体幹の直立保持が下半身の負担を減らし、痛みや疲労の予防に繋がる
-
アームスイングの改善が歩行のリズムやエネルギー効率を向上させる
そのため、正しく歩き続けたいなら、上半身のトレーニングは不可欠です。
歩く力を支えているのは、実は脚だけではないということを、ぜひ知っておいてください。
下半身だけエクササイズして歩行が変わらないと感じている方の参考になれば幸いです。
この記事へのコメントはありません。